Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:譲渡担保設定と賃借権の無断譲渡転貸

平成5(オ)486 建物収去土地明渡等、建物収去土地明渡
平成9年07月17日 最一小判
裁判要旨の抜き書き

 借地上の建物につき〜譲渡担保権の設定を受けた者が、建物の引渡しを受けて使用又は収益をする場合〜受戻権の行使が可能であるとしても〜敷地について〜賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解する〜。

裁判所 | 裁判例情報・・・・原文

1 借地人が〜譲渡担保権を設定した場合には〜所有権の移転は債権担保の趣旨でされたものであって〜受戻権を行使〜できるのであり、〜引き続き〜使用している限り〜敷地について〜賃借権の譲渡又は転貸がされたと解することはできない(四〇年一二月一七日二小判決)。

 しかし〜譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用又は収益をするときは、〜受戻権の行使が可能であるとしても〜譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当〜、解除〜できる〜けだし、
(1)612条は〜信頼関係を重視して〜無断で〜現実に使用又は収益させることが〜当事者間の信頼関係を破壊する行為となるものと解するのが相当〜、
(2)〜設定者が従前どおり〜使用している場合には〜現実の使用方法、占有状態に変更はないから、当事者間の信頼関係が破壊されるということはできないが、
(3) 譲渡担保権者が〜使用収益をする場合には、敷地の使用主体が替わる〜、その使用方法、占有状態に変更を来し、当事者間の信頼関係が破壊される〜。

 実際の登記関係は複雑で、債権者が譲渡担保を受けて代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記を経由するとともに、売買を原因として自分の妻名義に所有権移転登記を経由しており、地主の異議を受けたため、その所有権を抹消して賃借を受けていると主張したりしております。

 譲渡担保権については、条文がないために、いろいろな場面で判断に迷うことが出てきます。先般も売渡担保の受け戻しをどのように登記するかで、法務局と何度かやりとりをしました。

 昨年来、nsrでも、譲渡担保物件に抵当権設定の登記嘱託があった場合、どうすべきか、と言う議論が続けられております。なかなか難しい問題です。
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