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最高裁:表題部所有者もない土地の時効取得

平成22(受)285 土地所有権確認
平成23年06月03日 最二小判
裁判要旨

 表題部所有者の〜登記もない土地を時効取得した〜者が〜所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき,確認の利益を欠くとされた事例

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文

(抽出・加工あり。原文参照)
 概要〜
(2) 本件土地は〜明治8年〜「地所処分仮規則」に従い民有地に編入された。
(3) 〜登記記録は作成されているが,表題部所有者の登記も〜ない。
(4) 上告人は〜昭和30年〜から20年間本件土地を占有したことによりこれを時効取得したと主張して(国)に対し,平成19年〜送達の本件訴状により,取得時効を援用〜。

3 所論は〜従前の所有者が全く不明なのであるから〜上告人が現行登記制度の下で所有名義を取得するには本件訴えによるしかなく,本件土地は民法239条2項により国庫に帰属していたものと解して本件訴えの確認の利益を認めるべきである〜

最高裁は、

 (国)は本件土地が(国)の所有に属していないことを自認している上〜明治8年〜民有地に編入されたことにより,取得時効の起算点よりも前にその所有権を失っていて〜表題部所有者でも所有権の登記名義人でもない〜従前の所有者が不明であるとしても民有地であることは変わらない〜被上告人に対して確認を求める利益〜認められない。

 所論は〜確認の利益が認められなければ〜名義を取得する手段がないという。しかし,表題部所有者〜も所有権の登記もなく,所有者が不明な土地を時効取得した者は〜時効取得したことを証する情報等を登記所に提供して自己を表題部所有者とする登記の申請をし(不登法18条,27条3号,不登令3条13号,別表4項),〜保存登記の申請をすることができる〜(不登法74条1項1号,不登令7条3項1号)。
本件においては〜上記の手続を尽くしたにもかかわらず本件土地の所有名義を取得することができなかったなどの事情もうかがわれず〜前提を欠く〜。

と結論。

民法

(無主物の帰属)
第二百三十九条
2 所有者のない不動産は、国庫に帰属する。

不動産登記法

(申請の方法)
第十八条 登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより〜を登記所に提供してしなければならない。

  • 一 〜電子情報処理組織〜を使用する方法
  • 二 〜書面〜を提出する方法

(表示に関する登記の登記事項)
第二十七条 土地〜の表示に関する登記の登記事項は、次のとおり〜。

  • 三 所有権の登記がない不動産(〜)については所有者の氏名又は名称及び住所〜持分

(所有権の保存の登記)
第七十四条 所有権の保存の登記は〜次に掲げる者以外〜は申請〜できない。

  • 一  表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
  • 二、三  略

不動産登記令
(申請情報)
第三条 〜法十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
十三 〜別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の申請情報欄に掲げる事項

別表
四 土地の表題登記

  • イ 土地所在図
  • ロ 地積測量図
  • ハ 表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報
  • ニ 表題部所有者となる者の住所を情報〜

(添付情報)
第七条 〜申請情報と併せて登記所に提供〜。
3 次〜場合には〜登記原因証する情報を提供することを要しない。

  • 一  所有権の保存の登記を申請する場合(〜)

 と言うことのようですが、果たして、これらの方法で登記が可能でしょうか?

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