Genmai雑記帳

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最高裁:医療法人の出資返還請求

(2010-04-13分の改記分)
平成20(受)1809 出資金等返還,損害賠償請求事件
平成22年04月08日 最一小判
裁判要旨抜き書き

 医療法人の定款に〜解散時には〜残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合に〜,〜同定款中の退社〜社員は〜出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定は,〜退社時に〜法人の財産の評価額に〜当該社員の出資額が占める割合を乗じて算定される額の返還を請求〜できることを規定したもの〜。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)

(1) 被上告人は〜Bが442万〜円〜妻〜Cが20万円を〜出資して設立された社団たる医療法人〜。
(2) 〜定款〜
イ 退社〜社員はその出資額に応じて返還を請求することができる(8条)。
エ 〜解散〜時の残余財産は,総会の決議〜かつ〜県知事の認可を得て払込出資額に応じて分配〜(33条)。
(3) Bは昭和57年〜Cは平成13年〜死亡〜。
(5) 〜平成16年〜訴えを提起〜被上告人は,同年4月〜B分の〜請求権につき,消滅時効を援用〜

原審

(1)〜定款は〜剰余金の配当を禁止〜社員〜が退社した場合には〜出資を払い戻すこと〜にとどめたもの〜。〜8条は〜出資〜額の限度で〜請求〜できることを定めたもの〜。C〜20万円を出資〜20万円〜理由がある。
(2) B分〜10年〜時効〜消滅〜

最高裁

(1) 医療法〜56条等〜社員への分配〜54条に反しない限り〜法人が自律的に定める〜
33条の「払込出資額に応じて」の用語と対照するなどすれば〜8条は〜退社時に〜財産の評価額に〜社員の出資額が占める割合〜額の返還〜できることを規定〜

〜C分の〜額は,Cが死亡した平成13年〜において既に〜B分の〜請求権が発生している以上,これを負債として控除〜財産の評価額に,Bの出資額を除いて計算される総出資額中のCの出資額が占める割合〜20万分の20万を乗じて算定〜,同時点より後に,B分の出資金返還請求権につき消滅時効が援用されて,同請求権が消滅したとしても,C分の出資金返還請求権の額が増加することはない〜。

〜照らすと〜権利の濫用〜あり得る〜。差し戻す〜

時効消滅分を含めない計算としている点については少数意見参照。
医療法

第五十四条  医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。
第五十六条  解散した医療法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、定款又は寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。
2  前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。