Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:滞納処分差押と相殺

昭和37(オ)743 債務不存在確認請求
昭和40年07月20日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 〜国税滞納処分〜債権を差し押さえ〜取立権を取得した場合に〜第三債務者が債務者に対する反対債権をもつて被差押債権と相殺するには、債務者に対しても相殺の意思表示をすることができる。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)
上告理由第一について

 旧国税徴収法〜債権の差押がなされ〜第三債務者が滞納者に〜差押前に取得〜債権を有する場合〜、第三債務者は、差押当時両債権が既に相殺適状にあるときは勿論、反対債権が差押当時まだ弁済期に達していない場合でも、被差押債権である受働債権の弁済期より先に〜弁済期が到来するものであるときは、民法511条の反対解釈により、相殺をもつて差押債権者に対抗しうる〜
〜相対立する債権債務につき将来差押を受ける等の一定の条件が発生した場合〜弁済期如何を問わず、直ちに相殺適状を生ずるものとし、相殺予約完結の意思表示により相殺をなしうるという〜予約は、前示〜対抗を許される場合に〜限つて〜効力を認めるべき〜、〜自働債権の弁済期が受働債権〜と同じ〜か、〜その以前に到来する関係にある〜予約は〜対抗しうる〜しからざる〜予約〜対抗しえない〜(昭和36年(オ)897昭和39年12月23日〜)。

〜あらかじめ〜Hに対する債権保全のため、〜貸金債権または手形債権と右Hの〜預金債権とを、〜いずれの期限の如何にかかわらず、いつでも対当額で相殺することができる旨の約定〜、〜本件差押後〜(二)(イ)(ロ)(ハ)の〜貸金債権を自働債権として〜1ないし12の〜預金債権と対等額で相殺〜意思表示〜、〜それぞれについて〜相殺の目的となる債権の指定はなされなかつた〜
(い)〜(二)(ハ)の貸金債権と〜1ないし11の各預金債権は〜差押当時既に相殺適状〜512条、491条、489条に則り順次相殺すれば〜1ないし11の利息、2ないし7および9の元金の各全部〜1の元本のうち〜円は右貸金債権と対当額において消滅〜差押債権者〜に対抗〜
(ろ)〜預金債権〜のうち12の弁済期が(二)(イ)の〜債権の弁済期の後に到来〜前記特約に基づき〜消滅〜対抗〜、
(は)爾余の預金債権は(二)(イ)(ロ)の貸金債権より先に弁済期が到来〜、相殺〜消滅〜対抗しえない〜。

同第二について。

債権の差押債権者が〜取立権を有する場合に、第三債務者が債務者に〜有する反対債権をもつて被差押債権と相殺するには、差押債権者に対して相殺の意思表示をすることもできるが(昭和37年(オ)212昭和39年10月27日三小判〜)、差押債務者に対する意思表示によつても〜できる〜。

〜506条1項の「相手方」は、普通には、相殺〜消滅〜債権関係の帰属者を指称〜、受働債権について差押債権者が取立権を有する場合でも、債権そのものは差押債務者に帰属〜、相殺の意思表示を受預する資格を失うものではない〜。

上記に引用された判例の適用を示したような判決ですね。
最高裁:収益執行における賃料等請求権と相殺 - g-note(Genmai雑記帳)で引用されていたので読んでみました。

★判例等:相殺関係判例・記事(随時更新) - g-note(Genmai雑記帳)