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実務の中での時効の問題(月報司法書士 2012.8)

 あの加藤俊明大先生が、月報司法書士に下記を書いておられましたので、読んでみました。
「実務の中での時効の問題」(月報司法書士 2012.8)

2.時効取得による調整区域の農地の所有権取得

【自主占有の成否】
・昭和50.4.11最2判(所有の意思否定:原文未確認)
昭和45年06月18日最一小判(所有の意思と占有取得の外形的事実)
昭和45年10月29日最一小判(所有の意思と占有取得の原因事実)
〜善意悪意の問題であり〜自主占有と善意占有との問題を混同している(篠塚昭次〜新判例コンメ〜民法(2)202頁)。

【無過失か】
昭和59年05月25日最二小判(農地の時効取得と無過失)
昭和52年08月22日民三4239(時効取得登記の取扱い・法務省)
昭和52年08月25日52構改B第1673号(同上、農林省構造改善局)
(大原英記・不動産登記訴訟と判決による登記248〜249)
〜20年の〜主張する必要がある。

3.債務整理における貸金請求に対する消滅時効の援用と援用権の喪失

昭和41年04月20日最大判(債務承認後、不可としたもの)
大正12年04月26日大判(一部弁済後、不可としたもの:原本未確認)
・大正06年04月26日大判(支払延期証を差し入れた後、不可としたもの:原本未見確認)
・平成13年03月13日福岡地判(債権者の欺瞞的な方法、威圧的態度に起因して一部弁済:原本未確認)
平成15年03月19日東京簡判(同旨)
平成14年09月09日福岡地判(一部弁済等を承認と認めなかった例)
参考:平成24年10月15日 宇都宮簡判/平成26年02月25日 宇都宮簡判

4.相続財産につき単独で自主占有したと主張する者の取得時効の成否

・東京高裁判決
・昭和47年09月08日最二小判

〈1〉単独に相続したものと信じて疑わず、
〈2〉相続開始とともに相続財産を現実に占有し、
〈3〉その管理、使用を専行して収益を独占し、
〈4〉公租公課も自己の名でその負担において納付してきており、
〈5〉これについて他の相続人がなんら関心をもたず、もとより異議を述べた事実もなかった

(4) 東京高裁判決に対する疑問
自主占有を認めるための
〈1〉について
・契約が介在〜、権原の性質から占有の性質が判断できる〜(篠塚〜新判例コンメ〜民法(2)205頁)、
・上記、昭和45年06月18日最一小判
・権原の性質から他主占有と解される場合でも、全態様判断からなお自主占有の成立が認められることがあり、その場合〜誤認(善意)が不可欠のファクター(篠塚〜前掲書205頁)。

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