Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:遺留分減殺請求権と差押

平成6年(ラ)627 債権差押命令に対する執行抗告事件
平成6年08月10日 東京高決
【判示事項】遺留分減殺請求権と差押
id:gen-mai の H060810東京高裁H06(ラ)627遺留分減殺請求権の差押.pdf
遺留分減殺請求権と債権差押

遺留分減殺請求権〜を行使するか否かは専ら遺留分権利者の自由な意思決定〜、〜行使する相続人の意思が外部的に表示される(〜減殺請求の意思表示はもちろん〜減殺請求権の譲渡〜も〜行使〜意思の表示と見てよい。)前〜は、行使上の一身専属権である〜。〜差し押え〜許されない〜

〜また、遺留分減殺請求権は形成権〜、〜行使によって〜侵害〜行為は侵害の限度で当然に効力を失い目的物は右の限度で直ちに(物権的に)遺留分権利者に帰属する〜と同時に、形成権としての遺留分減殺請求権が消滅する〜。

遺留分権利者に対して金銭債権を有する者が、〜遺留分減殺請求権を行使したことにより取得した権利、すなわち、遺留分権利者に帰属することとなった目的物そのもの〜に対して〜強制執行を申し立てること〜は当然許されるし、〜目的物の引渡請求権あるいは将来生ずべき価額弁償債権等に対して強制執行を申し立てることもまた〜妨げる理由はない。

2 本件差押命令の適否

〜申立書〜差押債権目録は〜「債務者が第三債務者S郎に対して請求している亡M郎の相続財産に対する遺留分減殺請求権」と記載されている。〜記載からみる限り〜行使の意思の表示がなされる前の遺留分減殺請求権そのものと解するほかはない。

〜行使後に遺留分権利者に帰属した権利の総体たる財産権に対する強制執行と解してみても、現在の強制執行法のもとでは、そのような強制執行は予定されていない〜〜帰属した個々の目的物を特定して〜強制執行を求めるべきである〜

〜差し押さえることのできない債権を差し押さえたもの〜、さらに〜記録によれば、原決定のなされた時点で既に〜Kは遺留分減殺請求権を行使している〜、行使〜により消滅した債権を差し押えたこととなり、いずれにせよ取消を免れない。

3 補正の余地

〜将来現実化する可能性のある価額弁償債権や遺留分減殺請求権行使により遺留分権利者に帰属した個々の財産権に対する強制執行の可能なことは既に判示〜、本件〜も、債権差押の限度で〜権利者に帰属した個々の財産権に対する申立として補正する余地がある。

☆遺言と遺言執行〜(松井先生)10−遺留分についての諸問題 - g-note(Genmai雑記帳)で引用されておられましたので、読んでみました。