Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

札幌高裁:相続人による自主占有

昭和42(ツ)7 土地所有権移転登記請求事件
昭和43年03月05日 札幌高裁
裁判要旨抜き書き

 〜相続に因て所有権を取得したものと考え〜所有の意思をもつて現実に占有を始めたときは、被相続人が他主占有〜場合でも〜固有の自主占有をもつ〜

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(抽出・加工あり。原文参照)

 〜被相続人の占有の態様からみて相続に因て所有権を取得したものと考え、爾後所有の意思をもつて現実に占有を始めたときは、被相続人が他主占有をしていた場合でも右相続人は固有の自主占有をもつことになる〜。

〜Bは、右売買以前から係争土地を含む附近の土地を賃借〜船揚場〜海産物干場として使用〜前記売買により係争土地附近の土地を買受けた後も同様〜大正13年9月12日死亡するまでその使用を継続〜死亡後は被上告人が〜前同様の目的で使用〜所有の意思をもつて平穏且つ公然に占有〜

〜係争土地買受けの経過からみて、Bが当初から係争土地を所有の意思をもつて占有していたとは認められないが〜相当の年月を経た後にBを相続した被上告人は〜係争土地の位置、使用状況からみて自己の所有地と信じて占有を始めたものであり、被上告人が占有を開始した大正13年9月12日から〜20年〜取得時効が完成〜。

〜時効が完成〜登記がなければ〜その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては〜対抗し得ない〜
〜登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有しないいわゆる背信的悪意者と認められる場合には〜対抗し得る〜

〜係争土地は被上告人にとつてはその漁業経営上極めて必要度の高い重要な上地であつたので、昭和34年〜頃登記簿上〜Cになつていることが判明後、被上告人は再三Cの相続人Dに話合いを試みたが、Dはこれを拒み続けたため紛争が深刻化〜傷害事件まで派生〜
〜被上告人は昭和38年〜Dに時効援用を通告〜直後〜上告人への売買〜による所有権移転登記がなされたもの〜
〜上告人はCの二男でC死亡後Dを養育し〜紛争にも当初から関与〜経過、内容を熟知〜従来〜係争土地を使用したことはもちろん将来使用する必要性はまつたくなく〜売買契約についても〜代金の定めはあいまい〜

〜被上告人の登記欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者にあたらない〜

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