Genmai雑記帳

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大審院:時効取得と登記名義確認(無過失否定事例)

大正4(オ)960 所有権確認請求の件
大正5年03月24日 大判
要旨抜き書き

〜登記簿上所有名義が第三者に属するときは〜真否を確めない限り〜善意で〜占有しても、過失がなく〜占有を始めた〜ということはできない。

原文(関係部分のみ)
(抽出・加工あり。原文参照)
上告論旨

〜事實は〜「〜明治35年6月〜訴外Aより〜引渡を受け〜10月〜其登記手續を爲す約束なりしに〜或事情の爲め〜被告名義に登記しある爲め其返戻を受く迄延期し呉れとのことにて〜今日に至りたる〜」〜と云ふに在りて〜世間往往登記を延期する事例に乏しからさるか故に之を以てAの所有權を疑ふ能はす〜占有を始め〜Aより所有權を得て自己の所有物なりと信する上に何等の過失あらさるなり〜

大審院

〜不動産登記は〜權利の得喪變更を公示する方法なるを以て〜一応事實に符合するものなりとの推定を受くへきもの〜
〜賣買を爲すに當り登記簿上〜名義か〜第三者〜名義なる場合〜一般取引上の觀念に於て賣主の權原に付疑を挾むへき事情の存するものと云ふへし
〜故に〜登記の虚僞なるや否やの事情を確めたる後に非されば賣主より〜引渡を受け善意を以て〜占有を始めたるときと雖買主は過失なくして〜占有を始めたるものと云ふを得さる〜162條2項〜取得時効の要件を具備するものと云ふを得す

 問題は、どの程度「確かめたる後」なら良いかと言う点のように思います。

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