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最高裁:転得者に対する遺留分減殺、時効起算点、遺留分違反の贈与の効力(旧法)

昭和33(オ)502 土地建物所有権移転登記等請求
昭和35年07月19日 最三小判
裁判要旨

1 受贈者に対し減殺請求をしたときは、その後に受贈者から〜譲り受けた者に対してさらに減殺の請求〜できない。
2 受贈者から〜譲り受けた者に対する減殺請求権の1年の消滅時効〜は、遺留分権利者が相続の開始+贈与〜を知つた時から起算〜。

裁判例結果詳細・・・・原文
(抽出・加工あり。原文及び原審原文参照)

亡D =被相続人から贈与を受け、登記を経由。
被上告人B2+B3 =亡Dの相続人。相続登記を経由。
被上告人B1 =B2+B3からの買受人。登記を経由。
上告人 =上記贈与以前に贈与を受けたと主張。また、遺留分減殺を請求。

〜亡D名義に〜移転登記がなされた時においてDは本件不動産につき完全な所有権を取得し、上告人らは何らの権利をも有しなくなつたとし、被上告人B2+B3が登記義務を承継したとしても、同人らから本件不動産を買受けた被上告人B1〜移転登記を得た以上、特段の事情のない限り登記義務は履行不能に帰した〜

 〜上告人らの減殺請求により〜不動産が全部上告人らの所有に帰したとする所論の立場に立つてみても、未登記の上告人らは被上告人B2及びB3から〜不動産を買受け所有権移転登記を経た被上告人B1に対し、所有権取得をもつて対抗し得ない〜

 亡Dに対する減殺請求後、〜買受けた被上告人B1に対し減殺請求をなし得ないとした原審の判断、並びに時効の起算点に関する原審の判断は、いづれも正当〜〈原審は、相続の開始並びに減殺すべき贈与事実を知つた時を起算点としている。〉

 遺留分に反する譲渡行為であつてもそのため当然無効となるものではなく減殺請求に服するにすぎない。

 原審を読まないと、良くわからない判決ですが、原審が長くて・・・。正確に読めていればよいのですが・・・・

 法改正により、遺留分減殺による無効はなくなり、こうした問題はなくなりました。〈R020605改記〉
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