Genmai雑記帳

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大阪高裁:相続分譲渡後の遺産分割協議の当事者

昭和54(ラ)154 遺産分割審判に対する即時抗告申立事件
昭和54年07月06日 大阪高決
要旨抜き書き

 遺産分割の審判前に相続分の譲渡がなされた場合、譲渡人が共同相続人の一人として有する一切の権利義務は包括的に譲受人に移転~、譲渡人は遺産分割手続の当事者適格を失うとともに、譲受人は遺産分割に必ず関与させられなければならぬ地位を取得する。

(抽出・加工あり。原文参照→原文抄)
 

 〜原審判が、共同相続人間で相続分の譲渡が行われた場合、相続分譲渡人は右譲渡により遺産分割手続の当事者適格を失うとの見解の下〜分割当事者より除外したのは正当〜。

(二)確に、遺産分割に関する審判は〜固有必要的共同訴訟に類似する性格を有する〜共同相続人全員につき合一的に確定〜が要請される。
 
 〜一方、相続分の譲渡は〜共同相続人の一人として有する一切の権利義務が包括的に譲受人に移転〜同時に譲受人は遺産分割に関与することができるのみならず、必ず関与させられなければならぬ地位を取得する〜
 
遺産分割〜審判前に、相続分の譲渡が行われた場合、相続分譲受人がその地位に基づき爾後の遺産分割手続に関与していれば、それで、共同相続人全員につき合一確定の要請は充足される、というべき〜。

(三)〜抗告人は〜相続分を譲渡しても、〈譲渡人〉に、未だ〜不動産の相続登記に協力する義務が残つている旨主張〜
 〜抗告人の右主張は、その根拠が明らかでない〜、相続分譲渡の法的効果に関する前叙説示に照らすと〜譲渡人たる〈譲渡人〉に〜登記上の義務の残留を認める合理的根拠がない。