不動産登記における印鑑証明書3・【押印不要の場合】
(過去記事の全面改定です。)
「印鑑証明書添付の原則規定」は、いずれも「記名押印者」の印鑑証明書を添付、としておりますので、当然ながら「(記名)押印不要」である場合は「添付不要」となります。その場合の規定を、印鑑証明書添付の面から見てみます。
不動産登記規則(「記名押印」を「押印」とするほか、大幅に抽出・加工あり。必ず原文参照)
(「申請書」に押印を要しない場合)
第47条 令16条①〈申請書への押印〉の〈例外として〉〜省令で定める場合〜。(1)委任〜代理人が申請書に署名した場合
(2)申請人or〜代理人〈委任代理人を除く〉が署名した申請書に〜公証人〜の認証を受けた場合(3)〜次〜のいずれにも該当せず、〜申請人or〜代理人〈委任代理人を除く〉が申請書に署名した場合〜
イ〜ニ【印鑑証明書添付の類型】の場合(→これ)
ホ 法21条本文〜により〜識別情報の通知を受ける〜申請人
・以上の場合に「申請書に押印が不要」と言うことで、それ自体、実務的にはあまりないケースですね。
・(1)は、委任代理人が申請書に「署名したときは押印までは不要」と言う意味だそうです。
・従って、司法書士が申請書に「署名」した場合も押印は不要と言うことになります。(但し、司法書士法施行規則28条違反になります。)
(印鑑証明書添付の関係から言えば、任意代理人は、そもそも添付が不要です(令16条②)ので無関係な規定ですね。)
・委任代理人の場合は(1)ですので、(2)(3)の「代理人」は(委任代理人を除く)のだそうです。(なんと43条に規定。)
・(3)は、「印鑑証明書添付の類型」の場合ですので、裏返すと、この規定は、(代理人申請=(1)でない限り)、申請人の「署名」があっても、(印鑑照合のため)申請人の「押印」を省略できない場合を列挙したもの、と言うことになるのだと思います。
・但し、ホは、識別情報の受領権限を確認するために押印させるものだそうですので押印(添付)の意味が違います。
・(3)を裏返して書くと次のようになるようです。(「逐条不動産登記令」を参考としました)
次の場合には申請書に署名していれば、押印が不要になる。
1)所有権以外の権利の義務者が登記識別情報を提供して申請する場合
2)表示に関する登記(合筆・合体を除く。)
3)権利者に登記識別情報を通知しない場合
・・・・はじめから、そう書いてほしいです。
(委任状への押印等の特例)
第49条 令18条①〈委任状への押印〉の〈例外として〉〜省令で定める場合〜。(2)申請人が47条(3)イからホ〜のいずれにも該当せず、かつ〜申請人or〜代理人〈委任代理人を除く〉が委任状に署名した場合
(3)復代理人〜申請〜における〜委任〜代理人〜が復代理人の権限〜証〜書面に署名した場合
・これも通常はないケースと思われますが、担保抹消の権利者などが印鑑を持って来てないような場合には使えるかも知れませんね。
・この(1)(2)も(委任代理人を除く)のだそうです。(43条。)
・(「委任代理人は47条(1)により押印を要しないから」とする解説もありましたが、それは「申請書」の場合のことで、この場合に除外されているのは、そもそも受任者は委任状に記名押印しないか、(3)になるからだと思います。)
・(2)は、前出と同じ理由で、逆に、「押印を省略できない場合を列挙している。」と読むべきと思われます。
(承諾書への押印等の特例)
第50条 令19条①〈同意承諾書への押印〉の〜〈例外として〉〜省令で定める場合〜
・「同意or承諾〜〜書面」の作成者が署名した〜書面に〜公証人〜の認証を受けた場合〜。