「株主総会の実務」(立花宏司法書士)の続きです。(→こちらをごらん下さい。)
(大幅な抽出・加工あり。原文参照。また、記事タイトルの「№」や「表題名」は、勝手ながら記事の整理のために変更しております。下記本文内の№は立花先生の記事の№です。)
8.株主総会の運営(遠隔地株主の参加の方法)
電話会議システム等を利用する方法
(1)複数会場で総会を開催する場合、招集通知に記載する開催場所は、どう書くか?→複数の会場を列記することになる。
(2)開催場所を本店所在場所とし、株主が電話会議システム等を通じて総会に出席することは可能か?→これも可能。(招集場所で出席し、議決権を行使したものと評価されることとなる。-論点p472)
その他の方法
(4)書面又はメール等よって議決権を行使する方法(298条①(3)(4))
・招集通知を2週間前までに発する必要がある。(299条①)
・「株主参考書類」の交付の必要がある。(総会参考書類+議決権行使書面の交付等)
第301条 〜298条①(3)〜を定めた場合〜299条①の通知に際して〜省令で定めるところにより〜「株主総会参考書類」〜+〜「議決権行使書面」〜を交付しなければならない。
2 〜299条③の承諾をした株主に対し〜電磁的方法による通知を発するときは、前項〜による〜参考書類+議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供〜できる。ただし〜。
(5)総会決議の省略を利用する方法(319条)
(総会の決議の省略)
第319条 〜提案をした場合に〜株主〜の全員が書面or電磁的記録により同意の意思表示をしたときは〜決議があったものとみなす。・取締役が提案して〜利用する場合〜取締役会で議案の決定を先行する必要があるとの見解がある。この見解によれば〜決議を経ないで提案した場合には、決議取消事由となる〜(江頭p360(私は初版なのでP333))が、会社法立案担当者は、取締役会決議「省略可能としている。」(論点P487)
・「319条とは、決議に至る過程の省略も含んだ概念」なので不要としている。(金子「事例で学ぶ〜」P203)
以下、この記事や引用先などについて私なりに確認したりした内容
〇上記(3)については、(5)MAIL等による招集で関連条文を取り上げております。
〇(4)の2週間の期間については、このような場合においても、前述のような「招集期間の短縮の同意」をmailで同時に受け取る方法も可能ではないかと思っております。
〇(4)の「〜参考書類」については、小規模会社では、これを作成するのが面倒であるようなことも多いと思われ、予め、全員が議案に同意することが明らかであるような場合には、むしろ(5)の「提案内容」とした方が楽ですね。この方法をとるのは反対する者がいる可能性がある時と言うことになりましょうか。
〇更に、(「招集通知の省略」の問題と重なる問題ですが)、株主の同意をもって、「〜参考書類」を送らずに(例えば簡単な要旨のみ送って)、「議決権行使書面」を取得することは許されるでしょうか。(許されるように思いますが、今後の宿題としておきたいと思います。)
〇(5)の取締役会決議の要否については、今回のようなケースでは「株主」として提案すれば良いだけなので、余計に問題ないと思われます。
上記及び(5)MAIL等による招集にある「電磁的記録」についての条文は下記ではないかと思います。
(定款の作成)
第26条② 〜定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式〜他〜、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるもの〜。以下同じ。
をもって作成〜できる。この場合において、〜省令で定める署名or記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(電磁的記録)
第224条 法26条②〜規定〜省令で定めるものは、磁気ディスク〜他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。
〇上記「署名or記名押印に代わる措置」(電子署名等のことと思われます。)が必要とされているのは、「この場合において」とありますので、「定款作成の場合において」でない場合は、特段の規定ない限り、電子署名等の必要はないと言うことになると思われます。