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最高裁(新):名義貸し購入契約の割販法による取り消し

平成27(受)659 立替金等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件
平成29年02月21日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 個別信用購入あっせんにおいて,販売業者が名義上の購入者となることを依頼する際にした告知の内容が,割販法35条の3の13①(6)〜「購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」に当たるとされた事例

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(抽出・加工あり。原文参照)

〜新設された割販法35条の3の13①(6)は,

〜あっせん業者が加盟店である販売業者に立替払契約の勧誘や申込書面の取次ぎ等の媒介行為を行わせるなど,あっせん業者と販売業者との間に密接な関係があることに着目し,
特に訪問販売においては,販売業者の不当な勧誘行為により購入者の契約締結に向けた意思表示に瑕疵が生じやすいことから,購入者保護を徹底させる趣旨で,

訪問販売によって売買契約が締結された「個別信用購入あっせん」については,消費者契約法4条5条の特則として,

販売業者が「立替払契約の締結」について勧誘をするに際し,契約締結の動機に関するものを含め,立替払契約or売買契約に関する事項であって購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて不実告知をした場合には,
あっせん業者がこれを認識していたか否か,認識できたか否かを問わず,購入者は,あっせん業者との間の立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができることを新たに認めたもの〜

 〜購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても販売業者の依頼に基づくものであり〜依頼の際,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負う〜リスクの有無,契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など,契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には〜購入者に誤認が生じ,その結果,立替払契約が締結される可能性もあるといえる。

 このような経過で〜締結〜ときは,購入者は販売業者に利用されたとも評価し得る〜,購入者として保護に値しないということはできない〜,
割販法35条の3の13①(6)〜事項につき不実告知があったとして立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても,同号の趣旨に反するものとはいえない。

〜本件販売業者は〜ローンを組めない高齢者等の人助けのための契約締結であり,〜高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在することを告げた上で,「支払については責任をもってうちが支払うから,絶対に迷惑は掛けない。」などと告げている〜,

〜その内容は,名義貸しを必要とする高齢者等がいること〜高齢者等を購入者とする売買契約+商品の引渡しがあること+上記高齢者等による支払がされない事態が生じた場合〜も〜販売業者において確実に〜支払金相当額を支払う意思+能力があることといった,
〜契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無+あっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無に関するものということができる。

〜上記告知の内容は,契約締結の動機に関する重要な事項に当たるものというべき〜。
〜割販法35条の3の13]①(6)〜「購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」に当たる〜

山崎敏充の反対意見

〜本件〜名義貸しは〜不正な取引〜。名義貸しを行った者は〜契約が架空のもので〜当然〜商品を受領していないことを認識しつつ〜立替払契約を締結〜支払義務を負担〜を承諾している〜
割販法は〜消費者保護の観点〜名義貸しの場合は,そもそも商品購入契約が架空〜,かつ〜名義貸人が認識している〜,〜保護の対象として予定する場合とは著しく状況を異にする〜
〜名義貸人をも〜保護〜対象とするのは〜立法の趣旨とは整合しない〜
もっとも,名義貸し〜に至った経緯や理由にはさまざまなものが考えられ〜経緯などに照らして〜名義貸人に対する支払請求が信義則上許されない特段の事情があると認められるときは〜拒むことができると解する余地はある〜本件〜な特段の事情は認められない。

割賦販売法

(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みor〜承諾の意思表示の取消し)
第35条の3の13  購入者〜は、〜販売業者〜が訪問販売に係る「個別信用購入あつせん関係販売契約」〜の締結について勧誘〜に際し、次〜事項につき不実〜告げる行為をしたことにより〜誤認〜し〜、〜よつて〜契約の申込みor〜承諾の意思表示をしたときは〜取り消すことができる。

1〜5(省略)
6 前各号〜ほか〜個別信用購入あつせん関係受領契約or〜個別信用購入あつせん関係販売契約〜に関する事項で〜購入者〜の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの