昭和51(家)87 養育料増額申立事件
昭和51年9月30日長崎家審
要旨
~扶養義務は先ず第一次的に養親に存し、実親は、養親が資力がない等の理由によつて充分に扶養義務を履行できないときに限って第二次的に扶養義務(生活保持義務)を負う~
(以下、抽出・加工あり。原文参照)
~未成熟子である事件本人の福祉と利益のために、親の愛情をもつてその養育を、扶養をも含めて全面的に引受けるという意思のもとに養子縁組をしたと認めるのが相当であつて、
-このような当事者の意思からいつても、養子制度の本質からいつても、
事件本人に対する扶養義務は先ず第一次的に養親である申立人両名に存し、養親が親としての本来の役割を果しているかぎり、実親の扶養義務は後退し、養親が資力がない等の理由によつて充分に扶養義務を履行できないときに限つて、実親である相手方は次順位で扶養義務(生活保持の義務)を負うもの~
また~もし養親~の養子縁組の意思が、未成熟子の親権者となつていない実親からの扶養料を目当てにし、或いは実親の資力如何によつて左右されることがあるとすれば、それは養子縁組の本質に反する~のみならず、
-親権者でない実親にとつても、資力が充分あつて家庭的、人格的諸事情にも欠けるところがなく、しかも子を引取る意思を有しているのにかかわらず、養子縁組につきその意思を何ら問われることもないままに縁組が結ばれて、養親と同順位で生活保持の義務を負うに至ることは不合理~、
-この点からも、実親の扶養義務は第二次的なものとするのが妥当~