Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

親の建物に子が増築した場合

・親の建物に子が(又は親子共同で)資金を出して増築した場合の登記原因
 この問題は古くからある問題で、登記先例解説集などで議論されたこともありました*1が、新法になって登記原因証明情報の添付が義務づけられるようになってから、また、一時的に話題になった問題だと思います。
 しかし、それもしばらくのことで、今では当然解決していたと思っていましたが、そうでもないような話しがありましたので、驚きました。

少なくとも、インターネットで検索して見る限り、
親の建物に子が増改築を行う場合: 藤井事務所 司法書士里美先生の電子的事件簿
などにもあるように、私と同じように思っている司法書士も多いように思います。
同様のページは、下記にもあります。
http://www.k5.dion.ne.jp/~ken-law/zoukaitiku.html
みえ相続・後見相談室(松阪・津・伊勢) |付合と代物弁済
『志鯉熱烈(しりねつれつ)』! ~司法書士・つちはし秀俊のブログ~:増築と所有権登記(贈与でも可とする点は、税務上の観点だけから見ているようで?の所もありますが・・・)
水野 高志ブログ: 真正なる登記名義の回復(この記事では、代物弁済でやっているけれど、違和感があるような感想があります。)
相続とか、遺言とか、不動産経営とか、中小企業とか : 不動産登記(上記と同じような違和感から、あえて、その原因を避けようとした考え方)

 それにしても、「税務署で聞いたら●●を原因でするように言われた」とか言うようなお話しは、全く無益と思われ、税金については、要は、みなし贈与にならないようになっていれば、問題はないと思われます。(同様に法務局で聞いたら〜なんて議論もどうかと思います。)
(参考:国税庁ホームページリニューアルのお知らせ|国税庁

 また、
1.登記原因証明情報の書き方と記載例60―改正不動産登記法に完全準拠(H17-全青司が法改正の当時に出した書籍)の記載例もこの方法です。
2.登記官からみた 登記原因証明情報作成のポイント(H23)にも、似た様な記載例が載っています。(もっとも、この書式は少し?があり、なんだか良くわからない注記も付いていますが)

 ある方が言ったように、どれが正解と言うことはなく、それぞれの司法書士が自分の責任で考えることだとは思いますが、少なくとも私は、2回移転することをお勧めした上で、上記1を基本形として、次のような構成(表題)で作成しています。(共同出資の場合)

1.増築
2.付合
3.償金請求権の発生
上記付合部分について、弁済受領者が出資した価額は、後記建物について弁済受領者が元々有していた割合に基づく価額(本来負担すべき出資額)よりも多かったため、上記付合により、弁済受領者には損失が生じ、これを名義人に対して請求すべき償金請求権が発生した。(民法253条・248条)
4.代物弁済
〜「増築後の建物全体の価額」に対する「償金請求権の価額」に相当する割合の持分を、同日、弁済受領者に移転して、その弁済に代える旨を合意した。
5.価額割合
6.持分一部移転
 よって〜移転した。

民法
第248条(付合、混和又は加工に伴う償金の請求)

第242条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第703条及び第704条の規定に従い、その償金を請求することができる。

*1:№307-27巻6号