平成1(ネ)336 通行地役権存在確認等請求事件
平成3年5月29日 広島高判
判示事項の要旨
一 同一人の所有に属する数筆の一団の土地の一部を譲渡した場合に生ずる袋地と213条②の適用(積極)
二 数人に対する土地の一部譲渡により譲受人の一人の譲受土地が袋地となった場合における213条②の囲繞地通行権の発生する土地の範囲
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(以下、抽出・加工あり。原文参照)
~213条は、共有地の分割or土地の譲渡という任意行為により袋地が生じた場合においては、その関係当事者間では袋地の発生は当然予期すべきであり~土地の分割or譲渡と関係のない周囲の第三者の土地には迷惑をかけないで関係者の内部問題として処理するのが当然~との理由から、囲繞地通行権は~当該分割or譲渡の対象となった元の土地についてのみ発生し、かつ、償金の支払を要しないことを明らかにした規定~
~213条②は、土地の所有者がその土地の一部を譲渡し残余部分をなお保留する場合に生ずる袋地についてのみ適用ありと解すべきではなく、
-土地の所有者が一筆の土地を分筆のうえ、同時にその全部を数人に譲渡し、これによって袋地を生じた場合においても、袋地の取得者は、右分筆前一筆であった残余の土地について囲繞地通行権を有するものと解すべき~(最三小昭和37年10月30日~)、右の理は、単に一筆の土地の譲渡に限らず、同一人の所有に属する数筆の土地についても、当該土地が地続きで一団の土地となっている限りは、別異に解する理由はないから、残余の土地について囲繞地通行権が発生する~
本件~
~本件一ないし三の土地は、地続きとなった一団の土地~、訴外Cが家督相続により右各土地の所有者となっていたところ、同時に、本件一土地は控訴人に、本件二土地は被控訴人らの被相続人の訴外Bに、それぞれ譲渡されたもの~、
-その結果、本件二の土地が袋地になった~場合は、本件二の土地の所有者~である被控訴人らは、213条②に基づき、残余地である本件一or本件三の土地について囲繞地通行権を有する~
控訴人は、右残余地は、譲渡人である訴外Cの所有する本件三土地のみを指す旨主張するが、前記全部同時譲渡の場合に照らして考えると、右残余地とは、譲渡人の所有する土地に限られるものではなく、袋地となった土地を除く残余地全体を指すもの
~以上を総合すると
-本件二土地の所有者(共有者)である被控訴人らは、控訴人の所有する本件一土地のうち~部分について~213条②に基づく囲繞地通行権を有する~
同一人が地続きのABCを所有していたところ、Aを甲に、Bを乙に譲渡した結果、Bが袋地となった場合、乙が取得する通行権は、元の所有者が有するCに対してだけでなく、同時に譲渡されたAに対しても有することになる、と言う意味でしょうか?