平成28(許)24 職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成29年2月21日 最三小決
裁判要旨
取締役会設置会社(非公開会社)における,取締役会決議~ほか株主総会決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効~
所論
~取締役会設置会社において,定款で株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができるものとすることは,代表取締役の職務執行に対する取締役会の監督権限を弱める~本件定めは無効~
最高裁
取締役会を置くことを当然に義務付けられているものではない非公開会社(327条①(1)参照)が~取締役会を置いた場合,株主総会は,法に規定する事項+定款で定めた事項に限り決議をすることができることとなるが(295条②),法において,この定款で定める事項の内容を制限する明文の規定はない。
~法は取締役会をもって代表取締役の職務執行を監督する機関と位置付けている~が,取締役会設置会社である非公開会社において,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができることとしても,代表取締役の選定+解職に関する取締役会の権限(法362条②(3))が否定されるものではなく,取締役会の監督権限の実効性を失わせるとはいえない。
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効であると解するのが相当である。
会社法
(株主総会の権限)
第295条 株主総会は、この法律に規定~事項+株式会社の組織、運営、管理~他株式会社に関する一切の事項について決議~できる。
2 前項~にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項+定款で定めた事項に限り、決議~できる。