Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

仙台高裁:持ち回りによる遺産分割協議

平成1(ツ)31号 農業委員会に対する許可申請手続及び土地所有権移転登記手続請求事件
平成4年4月20日 仙台高判
判示事項

 持ち回りの方式による遺産分割協議が成立するためには、分割の内容が確定しており、そのことが各相続人に提示されることが必要である~協議に参加しなかった相続人に対して分割内容が提示されたことを認定することなく~協議の成立を認めた原判決を破棄~

(以下、抽出・加工あり。原文参照)
 

~~SS~~は、昭和46年~死亡~相続人は、同人と亡○○との子である~被上告人S~、~妻である~SZ~++SSとSZの子である上告人、○○、~被上告人~、~、~、~の11名~

~SSの遺産については、分割協議はされなかったところ、昭和58年~、被上告人ら、SZ、上告人の間で、

①~本件土地については、被上告人らがそれぞれ~70坪分~を取得する、
②~右部分を除く~遺産は、上告人が取得する、
③本件土地の登記については、いったんその全部について、上告人が単独で所有権移転登記を経由し、その後上告人が被上告人らに対し、各~70坪~分を分筆して~所有権移転登記手続きをする、
④被上告人らが取得する部分の具体的範囲は、上告人が所有権移転登記を経由~後~土地を整地してから~協議して決定する

こととし、整地+登記費用は右三者で分担するとの合意が成立~
そして、他の相続人に対しては、~家の中心的存在であった上告人が同意を取り付けることとなった、

(4)その後、上告人は、右合意の当事者を除く~相続人全員に対し~遺産の処分についての同意を求め、これらの相続人は、相続分が存在しない旨の証明書ないしこれと同趣旨の書面と印鑑証明書とを交付して、その処分+登記手続きを上告人に一任~
~上告人は、更に、被上告人ら+SZからも同様に登記手続きに必要な書類の交付を受け~~本件土地+~目録(三)の土地全部について相続~を原因とする自己名義の所有権移転登記を経由~。

 ~相続人間において遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の合意が要件~、この合意が成立するためには必ずしも全員が一堂に会することは必要ではないが、全員が一堂に会せずに持ち回りで分割協議をなす場合は分割の内容が確定しておりそのことが各相続人に提示されることが必要~

~本件~俊輔の相続人である上告人、被上告人ら+SZの間で~遺産である本件土地についての本件合意が成立したことは認められるが、他の相続人が本件合意の内容を了解したうえこれを承諾する意思表示をするのでなければ本件合意と同一内容の遺産分割協議が成立したということはできない~

~しかるに、原審は右他の相続人に対して本件合意の内容が提示されたことを認定することなく、右認定の事実から~SSの相続人間に遺産分割協議が成立したとしたものであり~907条1項の解釈適用を誤り、理由不備の違法~